委託加工を生業としていた木曽川染絨株式会社が、
KISOというブランドの立ち上げから、現在、未来に向けてのお話を伺いました。
KISO TEXTILEのはじまり
既存の委託加工事業から、
新しい何かを始めようと声をあげたときの状況をお聞かせください。
安藤
自社ブランドを作って販売しようというよりは、最初は草木染をやろうかというのがスタートだったと思う。なんとなく、スタートをした記憶です。
何か新しいことを始めなければという思いはあったが、草木染が良いのかわからず始めていました。
三輪
社内では小物づくりみたいなものから始めようという話がありました。
草木染に関しては、長野の避暑地の雑貨店にある高いマフラーのイメージで、実際に買う人がいるのかなという印象でした。最初は地域の人にアームカバーなどを作ったりもしていました。
楠瀬 草木染ってなんぞやという印象でした、、、。
山田 はっきりとは覚えていないけど、僕が最初に草木染料を紹介してもらったはず。そんなものがあるんだ程度の記憶でやってみるかという様子だったと思う。
今尾 伊勢神宮にある小物とかを見て、こういう草木染の商品もあるんだなという印象でした。
実際に草木染を5年前に初めて見て、どうでしたか?
安藤 何か新しいことをしなければいけないが、どう発信していくのか全く分からない中、ヤーンフェアという展示会に少しだけ草木染を展示していました。これをどう商品にして、どこに売っていくのかという不安と何をやったら良いのか分からない状態が数年続いていました。何かやらなければいけないという気持ちだけはあるが前に進めずにいたと記憶しています。
今尾 特に山田が中心に動いていたが、どこに向かってよいか悩んでいたと思う。
山田 スタートしたのは良いけど、ゴールがない。何に向かってモノづくりをしていけば良いのかという明確な目標がない中で進んでいたので、まずは草木染技術の土台作りをするしかないかなと思っていました。
KISO TEXTILEの現在
新しい挑戦をスタートさせた中、
1年前に梶原加奈子と出会って思ったことはありますか?
山田 2月の尾州展でお会いし、展示の様子を見て頂いた。その後工場を見て頂き一瞬で工場の状況を把握していました。その時に、うちには、こういうゴールが必要じゃないかという目標を与えてもらえたのが印象的でした。
木曽川染絨株式会社に初めて訪れた際に思ったことは?
梶原 お会いする人たちの人柄がよく、挨拶や向き合ってくれる雰囲気が良いなという印象でした。工場が動きやすい。広すぎず狭すぎず程よいサイズ感で全体の様子が掴みやすかったです。最初はどんな機械が入っているのか設備が気になりましたが、今ある限られた機械に集中することが強みだと思い、良い面を探して歩いたのを記憶しています。
安藤社長の判断で意を決して、
外部のデザイナーを入れる選択をした際に思ったことは?
今尾
工場は保守的なところがあり、自分のエリアは外には見せないところがありますが、できるだけオープンにして染色加工という業種を減らさないためにも助け合いながら、我々の思っている考えと違う考えを工場に入れていくべきじゃないか。我々の持っていない未知の部分を伸ばして開拓するチャレンジをすべきじゃないかと思いました。
後は、このプロジェクトを進めるにあたり、梶原さんから必ず安藤社長に参加してほしいと言ったことは非常に大きいと感じました。結果、非常にやりやすい状況になったと思います。
実際に外部デザイナーを入れて、再スタートしてみて思ったことは?
安藤
ゴールを決めて、行き方を示してもらい、やる気がでてきました。
現場のメンバーも草木染を会社として販売するんだということが展示会で出したりすることで明確に伝わったと思う。
プロジェクトを進めて、自分自身や周りの人に変化はありましたか?
山田 草木染の商品は大事に扱わないと品質が保てないため、一人一人の品質に関しての意識が高まってきたと感じています。
みんなから見た、山田さんの様子は?
楠瀬 忙しいけど楽しそうにしていますね。山田の仕事ぶりから、現場のメンバーが早めに行動しないとだめだねと、メンバーの意識が変わってきたと思います。
今尾 現状の流れている作業の中で、新規プロジェクトが動いている状況です。従業員はもっと新規プロジェクトで山田が動きやすいようにサポートしていく必要があると感じています。色々と形になってきていることが山田にとってもすごく勉強となり、今後の成長に良いのではと思います。
うれしかったこと、つらかったことはありますか?
三輪 製品づくりは、わくわくしています。女子社員もどうなりましたか、昨日の会議どうなりましたかと、すごく興味を持っているし協力的です。辛いことはないような。バタバタはするが、疲れたということではなく、良い疲れ、達成感、わくわくがある。
楠瀬 全体の工場の仕事が落ち着いているが、忙しい人が事務所を動き回っている様子を見ることで会社全体が意気消沈せずモチベーションを保てる原動力となっている嬉しさがあります。もしこのプロジェクトがなかったと思うと、、、。
山田 HPを立ち上げる、製品を作るなど、自分にできるかなという不安とワクワク感が戦っています。みんなの期待に答えなければという気持ちや、会社のお金を使ってやっているプロジェクトなので責任を感じますが、それは辛い気持ちではなく。ワクワク感が勝っています。
KISO TEXTILEの未来
これからの未来に関して思っていることは?
山田 9月に向けて製品を作ること、その時に売れる売れないの結果が出ますが、それでも作りつづけていきたい。新しいことにどんどん挑戦していきたい。
三輪
普段夢を見ない私が、夢を見ている。
自社製品を売るのに忙しく、本業ができない夢を見ました。これが正夢になってほしいと願っています。
今尾
現業の委託加工からの脱却、成功するかの不安はあるがチャレンジしなければ前に進まない。若者たちのためにも、数字として結果に残せる事業に発展できればハッピーである。
より良い商品を作るためにも、加工法などの研究をもっとしていきたいと考えています。
kisoというブランドを買いたいなと思ってもらえるような商品開発をしていきたいです。
安藤
お客様に必要とされる会社になること。社員には自分の仕事に自信をもって、人様に紹介をできるように。
今までは誰のために仕事をしてきたということが見えにくかったが、今回のプロジェクトは誰のためにというのが明確に見えやすくなった。これからは必要とされる会社になっていけば、社員も自信を持てるのではないか。社員の子供が、お父さんお母さんの会社に入りたいと思ってもらえれば、うれしいです。私は10年で引退したい(笑)
梶原
素直にまっすぐに進んでいけるところが木曽川染絨のみなさんの強さだと感じています。
自然と応援したくなります。改革に突き進む仕事をしていて、けして楽なことばかりではないと思いますが、共に目標を持ち乗り越えていくことが楽しいです。
困難を乗り越えていくためにはコミュニケーションが必要だと思います。安藤社長を中心に社員みなさんがお互いを励まし合って、新しい展開を生み出していけると嬉しいです。商品が売れたという夢が、正夢になるように。一緒に頑張りたいです。